小児の心肥大性心筋症 および舌写真付き治療経過
主訴 | 肥大性心筋症 疲労感 |
初診日 | 平成X年10月17日 |
患者情報 |
女性 9歳 九州在住 115cm 20kg |
現病歴 |
出生時からヌーナン症候群・肥大性心筋症と診断される。以降インラベルとβブロッカーを服用する。
小学3年生のときに軽く走れるようになったが、筋力が弱く長い距離が歩けない。手足が冷たく、背中が熱く感じる。
小学4年生では歩くのがきつく感じるようになる。立ちくらみで不安定になることもある。このころからよく鼻血がでる。(ひどいときには毎日のようにでる。)背中に痒みがある。
心臓の状態は、不整脈を予防する薬を服用(インデラル錠、ジベンゾリンコハク酸、ジベノール)している。 医師からは「左心室の僧帽弁の近く心筋が肥大して狭窄している。」と診断され手術を勧められている。
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診断 |
問診情報と舌、脈診、ツボなど体の状態から、元々ヌーナン症候群という先天性に心筋肥大を起こしやすい素体として持っていて、小学校で活動する際に様々なストレスに感じ、気の滞りから肝気と心気の停滞を生じ熱を生み、肥大した心筋に器質的な変化を与え、増大させてしまったと考えた。よって治療方針は、肝気および心気から生じた熱を冷ますことと、長年の内熱によって体液が消耗していることに対する処置を中心に行った。 |
治療 | 1回の治療で1~2個の少数のツボ(陰谷、曲泉、神道、十井穴など)を適宜選んで治療した。 |
治療経過 |
<初診> 肥大性心筋症。長時間歩けないとの症状で来院 (舌の状態は血流の状態を如実に表わし、身体の全身状態をも反映します。変化がわかりやすいので、今回の症例の方に限り毎回撮影させていただきました。) <以下舌の写真と併せて経過説明> |
現在の状態 |
病院での検査により狭窄を示す値が80から65まで減少していることが示された。治療後一ヶ月間は元気に通学しているとのこと。 |
初診は写真を撮っていなかったので、2診目からの写真の紹介となります。
<2診目>
軽い散歩ができた。
10月17日 治療前
10月17日 治療後
舌の先っぽの辺りが赤いのは、身体の上部に熱がある証拠で、舌の裏がミミズが這ったみたいに凸凹が先端まで来ているのは、かなり血流が滞っている状態を示します。
<3診目>
よく眠れるようになった。
10月18日 午前 治療前
10月18日 午前 治療後
治療後、表側では、舌の赤味がましになり、裏側の凸凹も少しましになりました。
舌の表側は変化しやすいのですが、裏側は時間がかかります。しかし、変化が見られることが大事なことです。
<4診目>
公園で遊べるくらい元気がでてきた。
10月18日 午後 治療前
10月18日 午後 治療後
午前とは逆に、表側はあまり変化してませんが、裏側が大きく変化してきました。
これは身体の深部が改善して、心臓の負担が軽くなっていることを示します。
まだ、色が褪せているのですが、かなり舌の状態は良くなっています。
<5診目>
よく寝ていた。
10月19日 午前 治療前
10月19日 午前 治療後
舌裏の状態が、治療後に大変良くなっているのがわかります。
<6診目>
長時間電車に乗り歩いたが前回より平気だった。
10月19日 午後 治療前
10月19日 午後 治療後
治療前の舌裏の色が赤いですが、これは午前中の治療の後、遊んできて血行が良くなったためと思われます。本来の色に近い状態に一時的になっています。良くなって行く過程で一時的に今までにない発色をすることがあります。治療後発色が元に戻ったのは、脈は非常に落ち着いているの興奮して血管が緊張していたのが緩んで為と思われます。
<7診目>
長時間は歩けない。
(病院の先生に)顔色が良くなったと言われた。
食欲が前より出てきた。
少し前までは便秘気味だったが、数日前からは出ている。
10月30日 午前 治療前
10月30日 午前 治療後
前回から11日後の来院でした。少し舌色が白すぎているのが治療後に少し改善しているのがわかります。熊本から長時間(6時間)かかるので、言葉では疲れていないと言っていても身体は疲れているのがわかります。
<8診目>
よく歩いた。(約90分)
少し額の辺りが赤くなっていた。
10月30日 午後 治療前
10月30日 午後 治療後
治療前に裏が赤過ぎて暗くなり表が白く、治療後に逆に表が明るく裏が暗さが取れて来ています。
これはとてもいい傾向で、身体の深部の熱が表面に浮き上がって来ている状態です。この状態が続いて行くように治療をしていきます。
<9診目>
夜中に異常に暑がり、冷たい飲み物をほしがる。
体温は36.1℃でいつもより低いくらいだった。
10月31日 午前 治療前
10月31日 午前 治療後
夜中に異常に暑がるというのは、体内に籠っていた熱が身体の体表に浮き出てくる症状の一つです。舌裏の色がかなり褪せています。熱が大きく変化し浮き出てこようとしている状態です。
<10診目>
公園で遊んで、暑くなる。冷たい飲み物をほしくなる。
眠たさがでてくる。
10月31日 午後 治療前
10月31日 午後 治療後
今回は、夜にはあまり熱が出ずに昼間に出ています。また前日よりも治療前に、舌の表と裏の色が大きく違うのがわかります。表はオレンジ色で裏は暗い赤色。このことから前日よりもさらに身体の表面に熱が浮かびあがろうとしている状態を表しています。夜中の熱は昼間の熱よりも深いことを表しています。
<11診目>
暑がっている。
冷たいものをほしがる。
時々目が覚めるが、しっかり寝れている。
11月1日 午前 治療前
11月1日 午前 治療後
夜はしっかりと寝れるようになってきたことと、舌の裏が淡い感じとなっていることは、深い部分の熱がほとんど取れてきたことを示します。
舌裏の凸凹も最初よりだいぶ平坦になってきています。
<12診目>
今日はあんまり動き回らなかった。
あんまり暑さを感じていない。
11月1日 午後 治療前
11月1日 午後 治療後
<13診目>
良く寝れた。
元気が出てきた。
暑さはそうでもない。
11月2日 午前 治療前
11月2日 午前 治療後
12診・13診は一度、浮き上がって来た熱が、だいぶ発散された様子です。少し発汗をしていましたので非常に良い傾向だと思います。
このように深部にこもった熱が浮き出てくる際に舌の状態は変化していきます。浮き出て体外に発汗・排尿・排便として排泄されていきます。この方の場合の深部にこもった熱は肥大性心筋症に由来するものだと考えています。
<14診目>
出かけて約5時間歩いたが疲れなかった。
11月2日 午後 治療前
11月2日 午後 治療後
初回時の舌裏写真と比べて、凸凹の状態がかなり良くなっています。特に舌の先っぽのあたりが非常に盛り上がっていたのが良くなっているのが良くわかります。それだけ心臓の負担が軽くなっているわけで、舌全体の発色が明るい色になっていることで一段階良くなっているものと考えられます。
診療時間
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