十月の養生法 心臓の症状 腎臓病と心臓病の関係
朝晩冷えやすくなり、身体の抵抗力が劣えがちな方は足腰が冷えやすくなり、さらに上半身の緊張が強い方や、脚をあまり使っていない方は心臓疾患に気をつけていただきたいものです。
特に、慢性の腎臓病をお持ちの方は要注意です。
心臓は、1日に6,000リットルの血液を体に送ります、1分間にして心臓は4リットルから5リットルを体に送り、そのうち約4分の1の800ccから1リットルを腎臓に送ります。
そして、1日に約150リットルもろ過をします。血液中の塩分濃度を一定に保つためと老廃物を排泄するためにさらに再吸収を行い、だいたい100分の一くらいにして排泄します。
腎臓の機能は、必要なものは出さずに不必要なものを排泄することと、必要な血液濃度の維持の為に水分の調節をすることです。
心臓の機能はこのように、現代医学的にも血液の量を調節する働きという点で、腎臓と密接な関わりがあります。
また、今まで腎臓病と指摘されていない方も糖尿病や高血圧を指摘されている方は、以下の理由でとても注意が必要でしょう。
1、 腎臓病は、進行して初めて症状が出てくる病気で、主な症状はむくみ、体のだるさ、食欲不振、呼吸困難、不眠といったものです。
2、 慢性腎臓病の方は、成人の8人に一人、実に1300万人と非常に多く、全く自覚症状のない方も多いのが特徴です。
3、 死因を年代別に見てみますと、65歳までは癌の割合が約3割、心臓病が14.8%、脳卒中が10%、なので心臓血管系の疾患で25%となりますが、75歳以上の年齢になると癌と同じか、癌よりも心臓血管系の病気で亡くなる方が多くなります。
4、 検査指標として、eGFR(糸球体ろ過量 正常値は60以上)という聞き慣れない指標が最近ではメジャーで、少なければ良くないわけですが、その場合もほとんど無症状なのです。
それでいて脳卒中や心筋梗塞の頻度が上がってリスクが高くなります。
現代医学的な治療法は、薬物療法です。
高血圧が一番問題になりますので、高血圧に対処する形となり、利尿剤(尿を出やすくする)、降圧剤として血管拡張剤、その他血液を造る指令を助ける薬、体液バランスを調節する薬などがあります。
予防法としては、やはり減塩が中心となります。
東洋医学的な認識は、心臓や肺臓、肝臓や脾臓という臓と名が付くものには、精という物質を蓄えているもので、それがあるために各臓器の働きが出来ると考えています。
精はその名の通り非常に高栄養な物質で、胃腸で飲食物と呼吸によって造られ、各内臓に蓄えられて余ったものは腎臓に蓄えられます。
また、心臓は火臓と呼ばれ熱を帯びやすく、体液である精を消耗することが他の臓器と比べて最も多いのです。
そのため、各臓器特に心臓の疲れが、腎臓に影響することが大きいのです。
このため、治療は過度に熱を持ってしまいがちな心臓の熱をピンポイントで冷まし、消耗しがちな腎臓の精を補うことを、適切な量で行うことです。
良くありがちな間違いとして、大雑把な場所で、過小もしくは過大な量の治療のために、身体が悲鳴をあげてしまうことです。
きちんと心臓疾患の東洋医学の専門家に診てもらい治療すれば、かなり心臓疾患の発症リスクが減ります。