五月 心臓と肺の関係について

最近高齢者の心不全が話題になるのですが、様々な要因で発症するのです。かなり体力の弱ったところで、発症するのが肺性心疾患なので解説していきます。

 解剖学的に見て肺は、心臓が能動的な臓器に対して受動的な臓器です。筋肉の運動(特に下肢)により全身から血液が戻ってきて右心房に入り右心室を経て肺に入ります。この際に肺自体の血管や肺の周りの筋肉や胸郭・神経などが障害を起こして右心室の負担が大きくなることが肺性心不全の大きな原因です。詳しくは右心室から肺へ流れる肺動脈の硬化による肺高血圧症が大きなものです。

 急性ではほとんどが肺血栓塞栓症と言われるもので、エコノミー症候群と呼ばれる長時間の同じ姿勢が原因で、下肢に出来た血栓が肺を塞栓し、突然の呼吸停止や急激な血圧の低下で一時的に気を失ったり、胸痛や突然死する場合もあります。早期診断と治療がされれば大丈夫です。
 この急性肺血栓塞栓症以外は慢性疾患で、肺炎などの症状の進行や呼吸筋の神経の異常、慢性的にある肺血栓塞栓症や、先天的に胸郭の変形や肺の血管障害により起こる肺高血圧症などがあり、症状としては身体を動かしたときの息切れや疲れやすさ、食欲が低下し、顔や足のむくみなどが徐々に進行していきます。
 西洋医学的にはそれぞれの原因疾患を治療することが大事とされ、調整は主に難しいとされています。もっとも頻度の高い肺疾患は、喫煙が原因および増悪因子(ぞうあくいんし)となっていることが多く、禁煙が不可欠です。

 

 

 東洋医学的には、部分的に見ることが治りにくくしているのだと考えます。やはり根本的な原因は身体の精を蓄える腎臓にあり、そこをきちんと巡るように持っていくと、予防と治療が可能になります。高齢者は比較的に下半身が弱い方が多くなってきます。
 その絶対的な量は実はあまり問題ではなく、それが均等にめぐっているのかどうかがポイントです。また、人によって目を使っている事が多かったり、筋肉を酷使している事が多かったりと、消耗するところが異なるのでそこに精を集中させることが大事なのです。
 当院では、鍼灸治療を行いますので、その部分に直結するツボを少数限定して処置します。少数する理由は、身体が疲弊しているからです。即効性のあるツボに適切な刺激量を施すことで、劇的な効果が得られます。多量の刺激をすることで疲弊した身体は更に疲弊し治りにくくなるからです。
 
また、普段からの養生的に下半身を丁寧に使うということが大事になってきます。以下に下半身の丁寧な使い方のポイントについてお伝えします。
 
腎臓を鍛えるための下半身の丁寧な使い方のポイント
氣を集中して使う 力をこめて使うではなく、力を意識的に抜いて使う
身体の中心をオヘソの下に置く 身体の動きのすべてをここから動かすという意識
つま先の先を意識して力ませない 特に歩く時にカカトではなくつま先から着地する
 
 これらのことをすべて同時にするというよりも、どれか一つでいいのでやると脚がポカポカと温まってきます。これは座っていても使えます。立っていても使えます。腎臓は精を蓄積して身体の弱っているところを滋養する働きをするので肺や心臓の状態も良くなっていきます。

 

詳しくは氣楽ウオークという氣を出す歩き方講座にて身に着けることが出来ます。

ぜひ一度体験してください。