【身体のためのほっと一息シリーズ 97】

ちょっと首がこったな、頭が重いな、という時、あまり意識することなく自分の手で首を揉むのは誰でもやることでしょう。

 

しかし、それはやめたほうがいいです。首を揉むのは身体にとって百害あって一利なしであるばかりか、病気の原因にまでなるからです」

 

こう警告するのは、医学博士で東京脳神経センター理事長の松井孝嘉医師です。

 

首は身体全体の調子を左右する『自律神経』と密接に関係しているのです。

 

外から力を加えられただけで全身に大きな影響を与えます。

 

自律神経は、主に昼間の活動的なときに働く交感神経と、就寝時などリラックスしているときに優位に働く副交感神経の2つの神経によってなりたっている。

 

この2つが「バランス」をとりあうことで、脈拍や血圧、呼吸、消化、体温の調整など、生命を維持するのに必要なあらゆる機能を調節しています。

 

この自律神経のバランスを整える部位が、首の後ろから頭の付け根あたりに存在しています。

 

この首の筋肉は細く、とてもこりやすいので、揉めばほぐせるという考えで、安易に揉んだり、マッサージをしてもらったりしがちです。

 

しかし、それは異常を起こした筋肉に新たな外傷を与えることになるのです。

 

そうして強く揉み続けると、こりが増幅して、副交感神経の働きが阻害され、交感神経とのバランスが崩れてしまう。

 

交感神経が過剰に優位になると、急に脈が早くなり、血圧が上昇したり、胃腸の働きが抑制され食欲がなくなったりと、様々な体調不良につながるのです

 

こうした不調の症状は、発汗の異常、血圧の不安定、全身の異様な疲労感など、実に30種類にも及びます。

 

体のあちこちに原因不明の不調があったら、まず首を疑ってください。

 

また首を強く揉むことによって、頸動脈などの血管にこびりついているプラーク(血管のカス)や血栓が剥がれ落ち、

 

血管が詰まって脳梗塞になる恐れがあります。

プラークは年齢が高くなるに連れて生じやすいので、高齢者ほど危険です。

 

最悪の場合、首への負荷によって血管の外壁に亀裂が入り、そこの部分に瘤が出来てしまい、クモ膜下出血につながる恐れもあるのです

 

首を強く揉むとこの際に生じる歪みが原因で、頸椎のそばを通っている動脈が圧迫され、脳に十分な血が行き渡らなくなり、脳への血液と酸素の供給が減少する。

 

すると、脳細胞の代謝機能が落ち、結果として認知症が進行するという研究があります。

 

一番重要なのは、緊張でこり固まった首を「ゆるめる」ことだといいます。

 

まず、普段から姿勢をよくするように心がけることが大切です。姿勢を良くし、全身を整えることが大切になります。

 

 

東洋医学では、こりやしこりなどの塊は熱が集まったものだとされています。

 

こりを揉むことにより、そこに血液が集まりさらに熱が加わること、でさらにこりが硬くなります。

 

こりを揉むことがこりの解消にならないのです。

 

この場合きちんとした鍼灸治療をすることにより、こりの熱が発散していきます。

 

熱が発散すると体に出てきている症状は消えていくのです。

 

ただのこりと軽く見ないで、きちんとした鍼灸治療を受けられてはどうですか?